武蔵 杉山城
Sugiyama castle
杉山城跡【埼玉県比企郡嵐山町杉山】
積善寺【埼玉県比企郡嵐山町杉山600】
玉ノ岡中学校【埼玉県比企郡嵐山町杉山610】
【立地】平山城
【別称】雁城・初雁城
【国指定史跡】「比企城館跡群」杉山城跡
【歴史】標高95m、比高42mの山頂に築かれた城である。これまで1540年代〜1560年代、
後北条氏よる築城が有力とされてきたが、2002〜2006年の発掘調査で15世紀末〜16世紀初
期の年代と判明。1478〜1505年「長享の乱」の時期と重なる。当地は山内上杉方の拠点鉢形城
〔寄居町〕と扇谷上杉方の拠点河越城〔川越市〕の中間地に当たり、1488年「須賀谷原の戦い」後
の1521〜1524年頃、旧城を再興した須賀谷城〔菅谷城〕とともに扇谷上杉氏に対抗すべく、山
内上杉氏が築いて陣を置いたと云われる。現在も大変良好な状態で曲輪、土塁、堀、井戸跡などが残り
、2008年「比企城館跡群」の一つとして国史跡に指定されている。
【所感】南の市野川、北の粕川に挟まれた東方・南方に見晴らしの良い山上に杉山城跡が在ります。現
在は南に県道296号線、北に県道69号線と関越自動車道が走り、嵐山小川ICが直ぐ横に在るので
、遠方からでも来易くなっています。町立玉ノ岡中学校の東、積善寺の墓地から城跡へ入ることが出来
、ココが大手口になります。入口の「杉山城跡」の看板にも書いてありますが、入城する前に当城跡は
私有地で地権者のご理解で公開されていることをお忘れなく。とにかく城跡全体が完全に残されている
点に驚きます。圧巻です。また、搦手口が在る北ノ郭以外は草木が綺麗に取り除かれ、大変分かり易く
なっています。これなら縄張り図を持たなくても曲輪の配置、繋ぎが目で追えます。本郭を最高地に置
き、北へニノ郭・三ノ郭、東へニノ郭・三ノ郭、南へ井戸郭・ニノ郭・三の郭・馬出郭、そこから東へ
折れて外郭・出郭と並び、尾根に合わせてF型〔牛が横たわっているよう〕に配列された縄張りになっ
ています。各曲輪は横矢掛を意識した凹凸形状で、どれ1つとして同じ形状はありません。設計図に基
づいて忠実に造成した直線的な曲輪を土橋で繋いだジグソーパズルのようで、縄張り図を見ているだけ
で芸術性を感じます。どの遺構も素晴らしいですが、私は土橋・虎口が印象的で、枡形虎口、喰い違い
虎口、真っ直ぐな土橋の先は土塁を置き、堀を跨いだ木橋+虎口なども全て揃っている。城に興味の薄
い人でも、土の城の面白さが分かってもらえると思います。ご案内頂いた儀一様に感謝致します。
大手口脇の堀〔写真:左〕大手〔写真:右〕
外郭−出郭を結ぶ木橋〔写真:左〕外郭−馬出郭を結ぶ木橋跡〔写真:右〕
馬出郭−南三ノ郭間の土橋〔写真:左〕南三ノ郭−南二ノ郭間の喰い違い虎口〔写真:右〕
南二ノ郭−井戸郭間の土橋〔写真:左〕井戸郭東側の堀〔写真:右〕
井戸郭東虎口−本郭南虎口間の木橋跡〔写真:左〕井戸郭から見た井戸跡〔写真:右〕
本郭から下る竪堀〔写真:左〕本郭西側の腰郭〔写真:右〕
北二ノ郭〔写真:左〕北二ノ郭北側の枡形虎口〔写真:右〕
本郭
本郭西側の堀〔写真:左〕本郭南虎口の木橋跡〔写真:右〕